コクサギ
植物学を勉強すると、必ず出てくる用語「コクサギ型葉序」。
その本家であるコクサギを、野外で初めて見て、ちょっと感動しました。
下の植物がコクサギ。葉っぱの配置にご注目ください。
たいていの植物は、互生(葉が互い違いにつく)だったり、対生(葉が向い合ってつく)だったり
するのですが、このコクサギは、右右、左左と2枚ずつ互生になっていることがわかります。
この特徴的な葉の配置を「コクサギ型葉序」とよびます。
コクサギだけではなく、ヤブニッケイなども時々こんな配置になるのを見る気がします。
コクサギはミカン科。葉っぱを透かすと腺点が見えます。
コクサギがたくさん生えてた山は、石灰岩地で、他にも面白い植物がいろいろありました。
ヒメヒゴタイとか、ムラサキセンブリとか。
この山にはまだまだ宝が眠っている気がします。
20151031 福岡県 OLYMPUS STYLUS TG-3 28mm
秋の銀竜草
もろもろの仕事が落ち着いたので、友人と近郊の山へ。
林床で、ギンリョウソウモドキの花を見つけました。
葉緑素を持っておらず、全身真っ白な風貌をしています。
樹木と相利共生関係にある菌根菌に寄生し、おこぼれ(栄養分)をいただくちゃっかりものです。
こちらは果実。
果実は蒴果で、それが春に咲くギンリョウソウ(こっちは液果)との違いのようです(林ら 2013)。
ギンリョウソウの種子は、カマドウマなどの直翅目に食べられ散布される、という面白い事実が最近の研究で分かっています(末次 2014)。
ギンリョウソウモドキの方は蒴果なので、風散布でしょうか。
下に垂れ下がったままのギンリョウソウの果実と異なり、ギンリョウソウモドキの果実は上に持ち上がります。
この特徴は、風散布の効率を少しでも上げるための適応なのかな、と思います。
20150922 福岡市 OLYMPUS STYLUS TG-3 28mm+フラッシュ
ツムギアリ
2週間ラオスへ調査に行ってきました!
道中でおなじみのツムギアリを発見。幼虫が出した糸で、葉を「紡いで」巣をつくる種です。
なかなかアグレッシブなやつでして、
巣をちょいちょいとつつくと、中からアリが踊るように出てきて威嚇してきます。
噛まれるとかなり痛いので注意です。
巣を剥がすとアリたちがやってきて、体をのばして葉と葉をつなぎとめてじっとしていました。
まるで自分が巣になるかのよう。
周りの茎にはツノゼミの仲間がいて、ツムギアリが蜜を求めて頻繁に訪れていました。
そういえば、最近の研究で、アリと相利共生関係にある生物(花外蜜を出す植物やシジミチョウの幼虫など)が、アリを化学物質を使って「操作」していることがわかってきたみたいです(M.Heil 2015)。半翅目とアリの関係はまだ研究されていないみたいですが、このあたりも化学物質を使った面白い関係が潜んでる気がします。
蝉に宿る蛾
20150803 篠栗町 OLYMPUS STYLUS TG-3
青空がずっと続く季節になりました。
自然観察会を開催する関係で、ここのところずっと通っていた森。
広葉樹が多い森の中でふと見上げると、葉のきらめきがきれいです。
写真はウラジロノキ。
20150803 篠栗町 OLYMPUS STYLUS TG-3 顕微鏡モード
森のなかで友人が見つけた、ヒグラシを寄主とするセミヤドリガ(矢印)。
セミヤドリガは、幼虫時代セミに寄生し、栄養を吸い取って生きています。
卵は樹皮の中に産まれていて、着地したセミの羽の振動を感知することで孵化し、セミに寄生すると考えられているとか…。
(なぜかかなり詳しいWikipediaの記事より)
このあたりを含め、生態はまだまだ謎のようです。
なんとも研究者魂を刺激する種ですね。